校長からのお手紙 | letter from the principal

2019.2.22 第248号- 5!寛容!ごめんどんまいが言える人になろう!-

(先週からの続き)
====
この物語は、フィクションです。
ある日の東京セブンズラグビースクールで
起きた実話をベースに創作した
ノンフィクション的フィクションです。
物語の登場人物と実在の人物は一切関係がありません。
========

「D君に質問。
君はなぜ、A君にチンパンジーって言っちゃったのかな?」

D君曰く。
「実は、チンパンジーは、先週に始まったことじゃなくて、
前にみんなでA君のことを チンパンジーって言って
からかって楽しかったら、ついその流れでまたやっちゃって・・」

ムラタぐ
「なるほどー。前からみんなでチンパンジーと言ってA君をからかってたんだな。
それで楽しいから、ついまた、言っちゃったんだね。」

D君「そうです。」

ムラタぐ
「うーん、そうかー。うーん。
あ、ところでA君に質問。
D君は、A君が嫌がるとはわかっていながらつい自分が楽しいからって
君の事ををチンパンジーと言ってからかってしまったわけなんだけど・・・
D君のこの気持ち、君にも同じようなことないかい?」

A君「ある!だって、俺、先週このクラスが嫌になったから
下のクラスに行った時に小さい子達にオレえばりくさっちゃったもん!」

ムラタぐ
「ああ、A君はこのクラスでみんなにいじめられてむしゃくしゃしてたから
ついつい何の関係もない、下のクラスの小さい子達にえばりくさっちゃったんだ・・・」

A君「うん!だからオレD君の気持ちわかる!」

ムラタぐ「うん、そうだよなあ。ついむしゃくしゃしてると
自分より弱いやつとノロいやつとか変なことしてるやつとかみると
ついえばったりバカにしたりしたくなる気持ちって誰でもあるよねえ。

でもさ、だからって相手をいじめたりからかったりしてはいけない。
それは間違いだって実はみんな知ってるよね。

僕は、皆さんにそこで自分の間違いを自分で止められる人になってほしいんです。
正しいという字は、一に止まると書きます。
正しい人というのは、
これ以上やってはいけないという一線で止まることができる人のことを言います。わかる?」

一同うなずく。

ムラタぐ「例えばね、練習に友達がハナクソほじってるように見えたとしたら
うわーきたねーとか言ってみんなでよってたかっていじめるんじゃなくて
ハナクソほじった手とそれでさわったボールを洗えばそれですむ話だよね。
はい、みなさん、この中でハナクソほじった事ない人いますか?」

一同「いませーん!(笑い)」

ムラタぐ「いないよねー。誰だってハナクソぐらいほじるわ!俺だってほじる!
でもその後、手を洗えばそれで終わりでしょ。
だから、練習中にハナクソほじってる奴がいたらびっくりするかもしれないけど
だからって相手が嫌がるような事はしないのが正しいってことだよ。わかる?」

一同「うん。わかった。」

ムラタぐ「僕は皆さんには、悪いことをしそうになったら
自ら正しく止まれる人になってほしいんです。

はい。ここからはオレの独り言。

それが正しいってことなんだよなあ。
そういう人のことを強くて優しい人って言うんだとおもうんだよなあ。
みんなわかってくれるかなあ」

微笑みながら空を見上げるムラタぐ
しばらく一同沈黙。

ムラタぐ「はい。オッケー。じゃあこのミーティング終わり。
ところでA君今日は君はどっちのクラスでプレイする?
このチームでやる?下のクラスでやる?」

A君「オレ今日は下のクラスでやりたい」

ムラタぐ「え?それはどうして?」

A君「だってオレ、先週下のクラスの子達にえばりくさっちゃったから、
今日オレ、あの子達に謝りたい!」

ムラタぐ「おお!そうか!わかった。じゃあ、今からおれも一緒に行って
下のクラスの子達にA君が謝りやすいようにみんなを集めてあげるよ!」

A君「うん!やった!」

下の子達が練習している方向に弾かれたように駆け出すA君。
私もすぐに追いかける。

ムラタぐ「はーい。ちょっとごめーん。みんな集合!
今日は、A君からみんなに伝えたいことがあるそうです!
聞いてあげて!」

A君「先週は、オレ、みんなにえばりくさってごめんなさい!」

下の子達「え、なにそれ、もう忘れてたし!」「ドンマイ!」「もういいよ!」

下の子達は皆優しかった!A君はとてもうれしそうだった。

ムラタぐ「あ!そうだ!A君!上のクラスの子達にオレ言い忘れたことがある!一緒に来て!」

A君と一緒に私は、先ほどのミーティングが終わり練習を再開しようとしている
上のクラスの子達のところに戻った。

私はまたもや眉間にチューリップを咲かせることを
心がけてこう言いました。

ムラタぐ「はい、〇〇〇ズ!集合!
今、A君は下のクラスの子達のところに行って
先週はえばりくさってごめんね!と謝って来ました。
このクラスの中でA君に何か伝えたい事が有る人!いますかあ?」

チンパンジー組のD君がA君に歩み寄った。

D君「A君、先週はごめんね」
A君「うん、もういいよ」

ドンマイの意味のある、拳同士を優しく接触させる
仕草(フィストバンプ)をしてから、握手する二人。

チンパンジー組のE君とハナクソ組のC君も続いた。

E君「A君ごめんね。」C君「A君ごめんね」
A君「うん、ドンマイ」

3人もフィストバンプしてから握手。

みんなの視線がB君に集つまった。
B君は、ハナクソ組のボスであり、チンパンジー組のボスでもある。

B君はA君から5mほど離れたところに
立ち止まってニコニコしているが、何も言いださない。

私もニコニコしながら場を動かしてみる。

ムラタぐ「他にA君に言いたいことある人、いますかあ?」

B君、まだ動かない。
ムラタぐ、B君を見つめながら

ムラタぐ「いないかなあ、じゃあ、そろそろいこうかなー」

B君、それでも動かない。
ニコニコしながら口笛を吹き空を見上げるムラタぐ。

「はあー。いい天気だなあ。そろそろラグビーやりたいなあ」

B君、観念した笑顔でA君に歩み寄り・・・

B君「ごめんね」
A君「うん、いいよ。ドンマイ。」

二人の握手にみんなからの拍手が自然と巻き起こったのでした。
ほっこりとするノーサイドの瞬間でした。

(おしまい)

東京セブンズラグビースクール
校長 村田祐造