校長からのお手紙 | letter from the principal

2019.3.5 第228号-ダンケシェーン!ライプチヒ!-

現在、ドイツから帰国する機内でこの原稿を書いています。

実は、先週木曜日から今週火曜日までの6日間、
旧東ドイツの人口55万人の都市、ライプチヒに滞在しておりました。

慶応大学システムデザインマネジメント学科の研究員として
ライプチヒ大学のスポーツ科学研究所でトレーニング科学を勉強するためです。

セブンズラグビーの男女日本代表チームの強化と日本におけるセブンズラグビーの
育成システムについて研究している慶応大学の富田先生の計らいで
このような貴重な機会を頂きました。

日本ラグビーを代表する国使のつもりで勉強して参りました。

ライプチヒ大学といえば、スポーツ選手がパフォーマンスを発揮するための
前提条件の一つであるコオーディネ―ション能力を育成する
コオーディネーショントレーニングの発祥の地であります。

第一人者のハルトマン博士の講義を直接受けて
ガンガン質問して直接ディスカッションさせてもらいました。
神経系の発育発達が著しいゴールデンエイジの子供達のために
どんなトレーニングが必要なのか?

かなり精密に理論を学んで参りましたので
これから毎週のラグビースクールの練習に応用して
実践していきたいと思います。

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大学で授業がなかった日曜日。
ハンドボールの世界最高峰ブンデスリーガの強豪SC DHfKのホームゲームを観戦しました。

会場はアリーナライプチヒ。満員です。数千人の観客が熱狂的に応援していました。
地元ライプチヒのゴールが決まる度に大声援が湧き上がります。

シュートを決めた選手のファーストネームを会場のDJが叫び
サポーターがファミリーネームを叫びます。

もし私がゴールを決めた選手だとしたらこんな感じです。

DJが絶叫!
ナイスゴールだ!スウィートだぜ!
ユウゾウ!

大観衆がすかさず絶叫!
ム!ラ!タ!

そして相手ボールで地元ライプチヒがゴールを守っている時は、
大観衆は町の名前を連呼して守備を盛り上げます。

ライプチヒ!ライプチヒ!ライプチヒ!

そしてキーパーが相手のシュートをセーブしたら
キーパーのファーストネームを
DJが絶叫!

大観衆がキーパーのファミリーネームを絶叫!

この調子で、ハンドボールは、1試合で20点以上点が入ります。
ライプチヒの得点シーンとキーパーのファインセーブの数だけ
絶叫しました。
何回絶叫したかわかりません。

超楽しかったです。

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ハーフタイムにコートレベルに降りてベンチ裏まで行ってみて
一番驚いたのは、選手の身長が2mぐらいあることです。

試合中の彼らは、スピードは速いし動きも機敏で柔らかくて
パスも身のこなしも素晴らしく巧いのです。
え、こんなにデカイのにあの動きかよ!と驚愕しました。

彼らがもしラグビー選手になったら相当凄いです。
実は、これは今回私がライプチヒ大学で学んだ
コオーディネーショントレーニングの成果なのだろうと
私は考えています。

彼らはライプチヒ大学のお膝元の選手達ですから
コオーディネーショントレーニングを小さい頃から
みっちりやっているはずだからです。

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もうひとつ驚いた事は、このハンドボールチームが
市民にとても愛されているチームだという事です。

チーム名のSC DHfKはスポーツクラブ「ドイツ体育大学」の略称です。
ドイツ体育大学DHfKとは、
今回私が勉強に来ているライプチヒ大学スポーツ科学部の
東西ドイツ統一前の前身の組織の名称です。

ベルリンの壁崩壊以前、東ドイツのメダル獲得数はソ連に次ぐ世界第2位でした。
そのオリンピックメダリスト達の強化およびスポーツ医科学研究の中心地が、
ここライプチヒにあったドイツ体育大学DHfKだったそうです。

スポーツクラブ「ドイツ体育大学」SC DHfKはライプチヒの地域総合型スポーツクラブです。
ハンドボールだけでなく様々なスポーツを楽しんでいる会員がいるそうです。
SC DHfKの最も大きな財源は、地元の市民の会員が
SC DHfKが運営しているフィットネスクラブに健康づくりのために通うために
支払っている会費収入なのだそうです。

また市民は、愛するクラブのために喜んで会費を払ってサービスを享受するし
個人的にも地元の企業もスポンサーとして寄付が集まる文化が醸成されていて
クラブ経営の基盤となっているそうです。

同時にクラブの経営者は、予算用途を公開して公明正大に経営しています。

ちなみにアリーナの7割は試合会場で3割は子供達の遊び場でした。
巨大なバルーンの滑り台がありました。
お母さん達も赤ちゃんに防音ヘッドホンをつけて抱っこしながら観戦していました。

SC DHfKの選手たちがコーチになって
ハンドボールのスクールのコーチをやっている
写真も会場に映し出されていました。
スクールの生徒であろう子供達も試合会場にいっぱいいました。

こんな感じで、ライプチヒアリーナはライプチヒ市民の老若男女で超満員。
俺たちが支えているチームだぜ!私達が支えてるチームよ!
という感覚があるんでしょうね。

相手チームのユニフォームを着ているアウェイのサポーターは
可哀そうに私の見る限り8人しかいませんでした。

それほどのホーム一色の地元の大歓声の中、プレイできる選手達は幸せです。
子供達がこの光景見たら俺もあそこでプレイしたい!
と思うだろうなあと感激しました。

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ちなみにライプチヒは、200年ほど前の1813年に
ヨーロッパ全域を支配していたフランスのナポレオン軍19万人と
対仏連合軍39万人(プロイセン、ロシア、オーストリア、スウェーデン)が
激突した大戦争「ライプチヒの戦い」の跡地です。

フランス軍6万連合軍5万5千が戦死者が出ました。
ライプチヒの戦いを契機に連合国は、フランスの支配から独立しました。

その後、第1次世界大戦、第2次世界大戦と血塗られた歴史が続いて
東西ドイツ分断からの1989年のベルリンの壁崩壊からの
1990年の東西ドイツの統一からの30年たった今。

ライプチヒはとても平和です。
市民が子供達と貧困も秘密警察も戦争も気にせず
スポーツを楽しめるって本当に最高です。
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というわけで週末はドイツのスポーツ文化の奥深さに脱帽しました。

私もスポーツに携わる人間としては
日本にもこのような素晴らしい市民スポーツの文化を作って次世代に
つないでいきたいです。

市民がスポーツを愛しスポーツを支えスポーツを心から楽しむ。
スポーツの素晴らしさが老若男女で味わって
その素晴らしさを次世代につなげていくのです。

本校でも学生コーチを務める東大ラグビー部の試合を
生徒達や保護者の皆さんがご家族で観戦に来てくださる文化ができています。

ライプチヒのSC DHfKは、本校の現在の良き姿と未来の目指すべき姿を
示してくれた素晴らしいお手本でした。

その志を無に秘めて、Think global, act localL
あるいはGo low and Refresh the world.となるように
また明日もみんなで心をこめてラグビースクールの活動に取り組みたいと思います。

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ちなみに
ライプチヒ大学の創立は1409年です。
実に610年の歴史があります。

本校もライプチヒ大学のように未来に永続する組織を目指して
運営母体を昨年の4月から法人化しました。

3月末で初年度の決算を迎える予定です。

来週のスクール通信では、会員の皆様には
本校の財務状況を詳しくお伝えする予定です。

また、数百年後にも
東大駒場グラウンドでラグビーを通じて
「強くて優しい人になる」が続く土台となるように
皆様に寄付のお願いをしたいと考えています。

寄付の文化になれていない私達日本人には、少し抵抗があるかもしれませんが
昔から日本にも地元の神社やお寺にお布施をしてみんなで支えて護って来た
感覚がヨーロッパの市民がスポーツクラブを支える感覚に近いのではないか
と思います。

とういうわけで、今回の旅は、本校の経営に
大きな示唆を頂いた大変有意義な旅でした。

伝統ある大学を中心とした青少年少女の育成と
ヨーロッパ独特の市民スポーツクラブを全身で体感した旅でした。

まさに私と本校の未来ために神仏が配材してくれたかのような
有難い旅でした。

どうもありがとうございます!
ダンケシェーン!ライプチヒ!

親愛なる生徒達と保護者の皆さんへ
どうもありがとうございます!ダンケシェーン!
明日もがんばります。
よろしくお願いします。

東京セブンズラグビースクール
校長 村田祐造